文部科学省在外研究員報告


海洋基礎構造システムセンター
Centre for Offshore Foundation Systems




 西オーストラリア大学の海洋基礎構造システム・センターにおいて「海洋基礎構造物周辺地盤の応答特性に関する研究」という課題で在外研究の生活が始まった。指導教授であるランドルフ教授から、以下のような研究内容の説明を受けた。
 豪州北西部に位置する海底油田から原油を輸送するために、海底地盤上にパイプラインが敷設されている。一般に、海底地盤上のパイプラインは波浪、暴風および潮流等による繰り返し載荷を受けるため、パイプラインの運動に伴い周辺地盤に間隙水圧が蓄積され、地盤剛性が低下する。これにより、パイプラインに大きな鉛直・水平方向変位が発生する可能性がある。特に、水平方向変位の増大はパイプラインの突然の破壊に至る危険性をはらんでいるため、豪州北西部に広く分布する石灰質砂地盤上に敷設されたパイプライン周辺地盤における間隙水圧の蓄積に関する評価が重要な課題となっている。また、この海底地盤に敷設するパイプラインの設計において、供用期間中に予想される暴風雨や地震等の不規則な外力による海底地盤の剛性変化およびパイプラインの挙動特性の定量的な把握が必要不可欠となる。そこで、石灰質砂地盤に敷設されたパイプラインの挙動特性を把握するため、遠心力模型載荷実験装置を用いたモデル実験結果から、パイプラインの力学的挙動を表現するモデルシミュレーションを行った。 まず、鉛直荷重が一定の状態で、繰り返し水平荷重を受けるパイプラインの沈下挙動のシミュレーションプログラムを作成した。モデルシミュレーションとして、降伏面を持つ小さな楕円とその楕円を包含する"Bounding Surface"と呼ばれる楕円から構成されるTwo-Surface Modelを用いた。このモデルでは、13個のパラメーターが必要となるため、遠心力模型載荷実験結果からのパラメーターの同定およびモデルシミュレーションに対する各パラメーターの影響を調べた結果、完全排水条件下の石灰質砂地盤上に設置されたパイプラインが繰り返し水平荷重を受ける場合のモデルシミュレーションはうまく実験結果と一致させることができた。次いで、部分的排水条件下における繰り返し水平荷重を受けるパイプラインの遠心力模型載荷実験を行い、その実験結果に基づいてパイプラインの初期沈下量および荷重条件を含んだ間隙水圧の蓄積に関する予測式の立案を試みた。その結果、繰り返し水平載荷による間隙水圧の蓄積成分については初期沈下量および水平・鉛直荷重比の影響が大きく、繰り返し水平載荷の周期が小さくなれば間隙水圧応答にピークが発生すること、また鉛直載荷による間隙水圧の蓄積成分については鉛直荷重および繰り返し載荷の周期が大きな影響を有していることが明らかとなった。これらの成果については、2003年に開催される国際会議にて研究論文として発表する予定である。
 最後に、西オーストラリア大学で得た10ヶ月間の貴重な経験を今後の研究活動および学生教育に十分に反映したいと考えている。また、在外研究員派遣に伴い、所属学科の教官を始めとして、ご指導、ご助言等を頂いた校内関係教職員の皆様に深く感謝の意を表す次第である。



西オーストラリア大学の時計台

ランドルフ教授と共に