制御工学実験(5年生)

 5 年の制御工学実験では,「制御工学」や「ロボット工学」に関連した実験を行っています.

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 通常,ロボットの各関節にはその角度を制御するために DC モータと角度センサが取り付けられています. 角度制御を実現するコントローラとしては,目標値とアーム角度のずれ (偏差) に応じて,比例 (P) 動作,微分 (I) 動作,積分 (D) 動作と呼ばれる三つの動作の組み合わせた PID コントローラが広く利用されています (ロボットにかかわらず,実際の現場の多くのシステムに対して PID コントローラが利用されています). また,このコントローラはコンピュータに実装されますが,コンピュータ内ではディジタル信号で処理されているので,モータ駆動回路やアナログセンサとコンピュータとの間で D/A 変換 (ディジタル信号をアナログ信号に変換) や A/D 変換 (アナログ信号をディジタル信号に変換) を行う必要があります.
 本実験では,Quanser Consulting 社製の 1 リンクロボットアームを題材として,PID 制御に代表される「古典制御理論」に基づく制御系設計に必要な一連の流れを実体験します. なお,コントローラ設計,シミュレーション,コントローラ実装などにはソフトウェア MATLAB/Simulink および QuaRC を利用しています.

D/A 変換 (量子化と 0 次ホールド)

ローパスフィルタによる速度信号のノイズ除去

P-D コントローラによる角度制御

粘性を小さくした場合 (P-D 制御)

粘性を大きくした場合 (P-D 制御)

手でアームを押すとずれた姿勢となりますが,時間の経過と
ともに偏差 (ずれ) が蓄積され,そのうち人の力に打ち勝つ
入力が加わります (積分動作の効果)

専攻科 1 年の実験では,2 軸に拡張することで手先位置の制御
を行います (この動画では手先位置が円軌道を描いています)
 

:2 週間

 子どもの頃,手のひらの上で傘やほうきなどといった棒を立てる遊びをしたことがあるのではないでしょうか.倒立振子とはこの「棒を立てる遊び」を自動制御により実現する実験装置であり,台車を左右に動かすことで振子の倒立を維持させます.倒立振子は という特徴を持つ制御対象であるため,制御の必然性が明確であり,「制御工学」の有用性を学ぶための教育的題材としてよく利用されています. その応用例としては,立ち乗り二輪車「セグウェイ (Segway)」や村田製作所の自転車ロボット「ムラタセイサク君」などが有名です.
 本実験では,Quanser Consulting 社製の倒立振子を題材として,「現代制御理論」に基づく制御系設計に必要な一連の流れを実体験します. なお,コントローラ設計,シミュレーション,コントローラ実装などにはソフトウェア MATLAB/Simulink および QuaRC を利用しています.

実験の様子

振り上げ安定化 (デモ)

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 工場の自動化 (Factory Automation) に伴い,組み立て作業や溶接作業,移載作業など様々な場面で産業用ロボットが使用されています.産業ロボットに所望の作業をさせる場合には,作業を行う手先 (End-effector) の位置と姿勢が重要になります.
 本実験の 1 週目では,三菱電機社製のムーブマスターを題材として,代表的な手先位置の制御手法である, を実体験します.数値制御ではロボット工学で学んだ逆運動学 (手先位置の情報から各関節角度を求める手法) を,実体験を通して再確認しています.
 本実験の 2 週目では,手先位置のビジュアルフィードバック制御を目的として,カメラによる 3 次元位置計測を行います.具体的には, を行い,班ごとに作成した動きを産業用ロボットに再現させます.
 平成 27 年度は,スキューズ社より無償借入している ASD-1100 を用いて,近年実用化されているロボットの操作を実体験しています.

ムーブマスター (三菱電機社)

実験の様子

3 次元位置計測

ASD-1100 (スキューズ社)

ASD-1100 (スキューズ社)

:2 週間

 ロボットなどのシステムには様々なアナログ回路が組み込まれています.たとえば,アナログセンサから検出される信号には高周波ノイズが含まれており,これを除去するためにローパスフィルタ (低周波信号はそのまま通過させ,高周波信号は除去する回路) が用いられています.また,パソコンから出力されるモータ駆動のための電圧は弱電力なので,オペアンプやトランジスタを利用した電力増幅回路がモータ駆動に利用されています.
 本実験の 1 週目では,抵抗,コンデンサ,コイルを組み合わせて構成した回路の特性を調べます.これらの素子は,「抵抗する」,「蓄える」などといった受け身的な動作をするので,受動素子 (パッシブデバイス) と呼ばれます.具体的には に様々な周波数の正弦波信号を入力したときの出力を観測し,入出力の振幅比と位相のずれを調べます.
 本実験の 2 週目では,オペアンプ (演算増幅器) に抵抗やコンデンサを組み合わせて構成した回路の特性を調べます.オペアンプは「電力増幅」などといった積極的な動作をするので,能動素子 (アクティブデバイス) と呼ばれます.具体的には の特性を調べます.

RCL 回路

RCL 回路の入力と出力

反転増幅回路

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