システム制御情報学会 学会誌 「システム/制御/情報」 55 巻 5 号,2011 年
[2] LMI に基づく制御系解析・設計(川田・蛯原)
adip.m
M ファイル adip.m は,図 1 に示すアーム型倒立振子(pendubot ともよばれる)の LPV モデル
の係数行列を与えるものである.以下に,その導出手順を示す.
図 1 アーム型倒立振子 <動画> GS 制御(30 [deg],45 [deg],60 [deg]), LQ 制御(30 [deg],45 [deg]) |
図 1 に示すアーム型倒立振子は,速度制御型モータドライバによりギアード DC モータが駆動されている.このことを考慮すると,振子がアームに与える影響は十分小さいので,アーム型倒立振子の非線形モデルは,
となる.ただし,
であり(パラメータの意味については,M ファイルを参照), は速度指令電圧である.
図 2 初期状態と目標状態 |
ここで,図 2 に示す初期状態から目標状態に制御することを想定し,以下の仮定を設ける.
(I) | 振子は倒立点近傍 () で動作する.すなわち, である. |
(II) | 遠心力・コリオリ力の項 が無視できるほど小さい. |
のように単純化される.この上式を下式に代入し,さらに,スケジューリングパラメータを
と定義すると,
すなわち,
が得られる.
以上より,状態変数と操作量をそれぞれ
とすると,LPV モデル
で表すことができ,その係数行列は以下のようになる.
参考文献
- 川田,市原:SOS に基づくアーム型倒立振子のゲインスケジューリング制御,第 10 回 SICE 制御部門大会,(2010)
- H. Ichihara and M. Kawata: Gain scheduling control of an arm-driven inverted pendulum based on sum of squares: comparison with a SDRE method, the 18th IFAC World Congress, to appear, (2011)
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