H30年度 活動報告(櫻井)

平成30年度 西日本地域高等専門学校技術職員特別研修会(機械系)

概要

 平成30年8月27日〜29日にかけて豊橋技術科学大学で開催された平成30年度西日本地域高等専門学校技術職員特別研修会(主催:独立行政法人国立高等専門学校機構、担当校:津山高等専門学校)に参加しました。この研修は高等専門学校の技術職員に対して、その職務の遂行に必要な高度で専門的な知識を修得させ、技術職員の資質の向上を図ることを目的としています。

 本年度の研修は機械系の技術職員を対象とし、特別講演、班別討議、講義、施設見学、技術課題の発表および討議といった内容の研修でした。

  

講演・講義について

 豊橋技科大の寺嶋一彦理事・副学長からは「スマートホスピタルを目指しての介護・リハビリ・院内支援ロボットの研究」という題目で講演がありました。超高齢社会におけるロボット技術のあり方や、医工学連携により、これまでに開発に携わってこられた回診ロボットやリハビリ支援ロボットの紹介がありました。また、キャスタ駆動輪を応用した差動駆動操舵機構を採用してロボットを真横にすぐに移動できるようにしたことや搬送時の振動制御といった技術的な話もありました。

 津山高専の磯山武司校長からは「技術系の仕事と気づき」という題目の講演がありました。異分野の仕事に取り組む際、分野間の共通事項を押さえて抽象化し、自分のスキルと紐づけるなどの仕事を進める上での考え方や、一人二役のつもりになって同時並行で複数のプロジェクトの業務に取り組むという今後求められる技術職員像についての話がありました。

 豊橋技科大の柴田隆行教授からは、 MEMS( Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)を用いた細胞の精密計測・微細加工技術についての講義がありました。マイクロ・ナノメートル領域における次世代の“ものづくり基盤技術”の開拓に関する研究紹介があり、機械工学、電子工学、有機合成化学、生物工学を組み合わせて細胞に加工する事例(例えばiPS細胞の作製)などの話を伺いました。

   

 講演・講義を通して、(人文科学も含めた)異分野に自ら挑戦する技術者の育成が益々重要になっていると感じました。

班別討議について

 班別討議では豊橋技科大の技術職員の方々も参加し、6班に分かれ討議を行いました。テーマは事前に知らされていた「支援対象学生への対応」でした。各校の発達障害や身体障害等を有する学生への対応事例について情報共有し、議論を行いました。

 正解のない課題ではありますが、現状において支援できる内容を整理し保護者等に情報公開していくことが大切であると思いました。

施設見学について

 学内の実験実習工場や研究室の施設を見学しました。実験実習工場では、レーザ加工機や3Dプリンタによる作品や摩擦撹拌接合の様子を拝見しました。また研究室の見学では、電気炉で熱した鋼材をプレス機で塑性加工する様子を見たり、ロボット制御に関する説明を受けたりしました。

技術課題の発表および討議について

 「実験スキルプロジェクトの動つり合い実験(機械力学)に基づく実験装置の製作」と題し、機械工学科の工学実験で使用する動つり合い実験装置の製作依頼について、設計や加工の際に工夫した点などを発表しました。また、他高専の科研費助成研究や公開講座、機械加工実習時の工夫等の多くの取組みについて聞くことができました。

まとめ

 本研修会において、西日本地域高専の技術職員の研究や活動を知ることができました。特に科研費助成研究の発表を多々聞くことができ、申請書の書き方の参考になりました。また、今後、実習等において、この研修を通して得られたことを生かしていければと思います。