アップデート 2002.8.16

ブーメラン


 ブーメランの運動は、投げた後で再び手元に戻ってくる軌跡を描くことで知られている。文献によれば、x軸の回りに回転し、y軸の方向に投げられたブーメランの運動は、重力によるz軸方向への落下を無視し、空気抵抗を無視すれば、微分方程式系
(1) d2x/dt2=−(F*cos(Ωt))/m
(2) d2y/dt2=−(F*sin(Ωt))/m
で与えられる。Fはブーメランに働く揚力、mはブーメランの質量、Ωは回転するブーメランの角速度である。簡単のためにβ=F/mとおくと、式(1)、(2)は
(3) d2x/dt2=−β*cos(Ωt)
(4) d2y/dt2=−β*sin(Ωt)
となる。この微分方程式は簡単に解ける。すなわち、積分すると
(5) dx/dt=−β*sin(Ωt)/Ω+A1
(6) dy/dt=β*cos(Ωt)/Ω+A2
となる。ここで、初期条件を代入すると
(7) x'0=A1
(8) y'0=β/Ω+A2
となる。更に、式(5)、(6)を更に積分すると
(9) x=β*(cos(Ωt))/Ω2+A1t+B1
(10) y=β*(sin(Ωt))/Ω2+A2t+B2
となる。初期条件を代入すると
(11) x0=β/Ω2+B1
(12) y0=B2
となる。式(7)、(8)、(11)、(12)を式(9)、(10)に代入すると
(13) x−x0=x'0t−β*(1−cos(Ωt))/Ω2
(14) y−y0=y'0t−β*(Ωt−sin(Ωt))/Ω2
である。ここで
(15) x=x'0t
(16) y=y'0t
は、初速度の方向への。等速度直線運動である。また
(17) x=1−cos(t)
(18) y=t−sin(t)
はサイクロイド曲線である。ブーメランはこの2つの運動を合成したものであることが分かる。例えば、x'0=0、y'0=β/Ωのとき、式(13)、(14)からt=2π/Ωのとき、元に戻ることが分かる。微分方程式系(1)、(2)は表示は簡単であるが、その運動は複雑である。

EXCELのシートは以下のようななるであろう。

A

B

C

D

E

F

G

H

I

1

ブーメラン  x"=−βcosΩt y"=−βsinΩt            

2

変数t0

0

7.35

−0.5

0.89

−2.5

−0.8

f1(t,x,x',z,z')

0.891081786

3

関数x0

0

変数t

関数x

関数x'

関数y

関数y'

f2(t,x,x',z,z')

1.426238394

4

関数x'0

0

0

0

0

0

0.7

f3(t,x,x',z,z')

-0.753838073

5

関数y0

0

0.05

-0

-0.2

0.03

0.69

f4(t,x,x',z,z')

2.799150456

6

関数y'0

0.7

0.1

-0

-0.3

0.07

0.65



7

刻み幅h

0.05

0.15

-0

-0.5

0.1

0.59

f1(t,x,x',z,z')

=E2

8



0.2

-0.1

-0.6

0.13

0.51

f2(t,x,x',z,z')

=-B9*COS(B11*C2)

9

係数β

3.1416

0.25

-0.1

-0.7

0.15

0.41

f3(t,x,x',z,z')

=G2

10

 


0.3

-0.1

-0.8

0.17

0.29

f4(t,x,x',z,z')

=-B9*SIN(B11*C2)

11

角速度Ω

3.1416

0.35

-0.2

-0.9

0.18

0.15




関数マクロはここにある。


x'0=0、y'0=β/Ωのとき、ブーメランは元に戻る。β=Ω=πとして、y'0=0.7<β/Ωのとき、ブーメランは旋回しながらyの逆方向に進む。

x'0=0、y'0=β/Ωのとき、ブーメランは元に戻る。β=Ω=π、y'0=1のとき、この条件を満たす。

x'0=0、y'0=β/Ωのとき、ブーメランは元に戻る。β=Ω=πとして、y'0=1.2>β/Ωのとき、ブーメランは旋回しながらyの方向に進む。


問題1:β=Ω=πを固定して、y'0の値を変化させて見よ。
問題2:x0やy0の値を変て見よ。
参考文献:吉田喜一:宮島司:石松純、3枚翼ブーメランの軌道解析、日本数学教育学会高専部会研究論文誌、Vol.5、No.1、pp11−16、1998