アップデート 2008.6.28
減衰振動
空気中のバネの運動では空気抵抗が働く。質点と原点との距離をx(t)とする。振動の速度があまり大きくないときには、空気抵抗は速度x'(t)に比例する。速度に比例する抵抗は速度と逆向きに作用する。比例定数をcとする。また原点の方向へ距離x(t)に比例する引力を受ける。その比例定数をkとする。質点の質量をmとする。バネの運動の微分方程式は
mx"=−cx'−kx (m>0、c>0、k>0)
となる。形を整えると
mx"+cx'+kx=0 (m>0、c>0、k>0)
となる。mで割ると
x"+cx'/m+kx/m=0 (m>0、c>0、k>0)
であるから、
a=c/m
ω2=k/m
とおくと
x"+ax'+ω2x=0 (a>0、ω>0)
となる。a=0のときは、抵抗がないときに相当し、単振動となる。この形の微分方程式を2階線形微分方程式という。
D=a2−4ω2とおく
D>0のとき、一般解は
x(t)=C1exp(λ1t)+C2exp(λ2t)
である。ここで
λ1、2=(−a±
)/2<0
であるから
limx(t)=0
t→∞
となる。バネは振動しないで指数的に減衰していく2つの関数の和である。この運動を、過減衰振動(over-damping)といい、非周期的な運動である。
D=0のとき、一般解は
x(t)=(C1+C2t)eλt
である。ここで
λ=−a/2<0
であるから
limx(t)=0
t→∞
となる。バネは振動しないで指数的に減衰していく2つの関数の和であるが、その差は小さい。この運動を、臨界減衰(critical
damping)という。
D<0のとき、一般解は
x(t)=e−μt(C1cos(ωt)+C2sin(ωt))
である。ここで
μ=−a/2<0
ω=
/2
であるから
limx(t)=0
t→∞
となる。バネは振動しながら指数的に減衰していく。この運動を、1次元減衰調和振動(damped oscilaion)または減衰正弦曲線という。また隣り合う極大値の比を減衰比(damping
ratio)という。その対数を対数減衰率(logarithmic decrement)という。
数値解を求めるために、次の連立微分方程式系に直す。
x'=y (1)
y'=−ay−ω2x (2)
ω=1を固定して、係数aを変えてみる。a=1のときは、D<0となり、1次元減衰調和振動となる。a=2のときは、D=0となり、臨界減衰となる。a=3のときは、D>0となり、過減衰振動となる。初期値をx0=1、y0=10として、係数aを変化させたときの解曲線は次のようになる。

問題1 λ<0のとき、次式が成り立つことを証明せよ。
lim(teλt)=0
t→∞
問題2 係数aを固定したまま、初期値x0とy0を変化させたとき、解曲線がどのように変わるか観察せよ。
問題3 x(t)=e−μt(C1cos(ωt)+C2sin(ωt))がx(t)=C3e−μt(sin(ωt+C4))と変形されることを示せ。
参考文献:古屋茂、新版微分方程式、サイエンス社
参考文献:丹羽敏男、微分方程式と力学系の理論入門、遊星社