アップデート 2009.5.11
電気回路
抵抗Rオーム、インダクタンスLヘンリー、起電力E(t)=E0sin(ωt+α)ボルトの回路を流れる電流x(t)を求める微分方程式は
Ldx/dt+Rx(t)=E0sin(ωt+α)
である。Lで割ると
dx/dt+Rx/L=E0sin(ωt+α)/L
となる。ただしtは時間変数、αは初期位相である。ここでb=R/L、c=E0/Lとおくと
x'+bx=c・sin(ωt+α)
となる。b=0.5、c=1、ω=2、α=0のときのベクトル場は次の様になる。
これは1階の線形常微分方程式である。解の公式より、一般解は
x=e-bt{∫c・sin(ωt+α)ebtdt+D}
=c{bsin(ωt+α)−ωcos(ωt+α)}/(b2+ω2)+De−bt
=E0{Rsin(ωt+α)−Lωcos(ωt+α)}/(R2+L2ω2)+De−Rt/L
となる。
t=0のときx=0となる解は
E0{Rsin(α)−Lωcos(α)}/(R2+L2ω2)+D=0
を満たすように、任意定数Dを決めると
x=E0{Rsin(ωt+α)−Lωcos(ωt+α)}/(R2+L2ω2)
−E0{Rsin(α)−Lωcos(α)}e-Rt/L/(R2+L2ω2)
となる。
b=0.5、c=1、ω=2、α=0、x0=2、h=0.5のときの解曲線場は次の様になる。

三角関数と指数関数の積の不定積分は、部分積分の公式
∫f(t)g'(t)dt=f(t)g(t)−∫f'(t)g(t)dt
を2回使う。求める積分を
I=∫sin(ωt)ebtdt
とおくと、部分積分法により
I=sin(ωt)ebt/b−(ω/b)∫cos(ωt)ebtdt
となる。更にもう1度部分積分の公式を使うと
I=sin(ωt)ebt/b−ωcos(ωt)ebt/b2−(ω2/b2)∫sin(ωt)ebtdt
となる、右辺に表れた不定積分は、最初に定義したものであるから、
I={bsin(ωt)−ωcos(ωt)}ebt/b2−ω2I/b2
となる。移項して整理すると
(b2+ω2}I/b2={bsin(ωt)−ωcos(ωt)}ebt/b2
となるから、Iの係数b2+ω2で割れば
I={bsin(ωt)−ωcos(ωt)}ebt/(b2+ω2)
が得られる。
問題1 起電力の初期位相αを変化させると解はどうなるか。
問題2 xの1次の係数bを固定し、ωを変化させると解はどうなるか。
問題3 起電力E0sin(ωt+α)ボルトの代わりに、蓄電池E0ボルトがあるRL回路の微分方程式の解曲線を求め、図示せよ。
問題4 問題3でt→∞のときの状態を観察せよ。
問題5 コンデンサーCファラッドを持つRC回路の微分方程式はRdx/dt+x/C=0である。この場合の電流x(t)の解曲線を求め、図示せよ。
参考文献:古屋茂、新版微分方程式、サイエンス社
参考文献:田代嘉宏、工科の数学 微分積分、森北出版
学生の報告書からの感想
問題2でωを大きくとって、波形について調べている人がいた。
この回路の外力は
c・sin(ωt+α)
である。外力である正弦波の周期は
2π/ω
である。ω=2としているので、外力は周期πの周期関数である。数値解法は微分方程式を離散化して、時間の経過と共にx(t)の値を求めている。図示した例題は刻み幅h=0.5である。ということは、周期πの関数を刻み幅0.5で計算しているので、1周期の間に
π/h=π/0.5=2π
すなわち約6個の点でしか計算していないことになる。(本当はその2倍の点で計算している。)ここで示した図で、解曲線が、π=3.14、2π=6.28、3π=9.42、4π=12.56の付近で同一の値をとっているようなことが観測される。
さて、ωを大きくすると、外力の周期が短くなる。振動が激しくなる、だから数値計算のために離散化した点は、外力のある特定の部分しか見ていないことになる。そのため、数値化して求めた解は本当の解とは異なった振る舞いをする。これを避けるには刻み幅hを小さくしなければならない。するとほんの少しの時間しか計算できない。ずっと遠くまで計算するには、計算回数を増やす必要がある。そうすると計算時間が沢山必要になる。
数値解法では、刻み幅をいくらにするかが重要な問題になる。