アップデート 2001.7.2

ハミルトンの保存系


 微分方程式系
dx/dt=f(x,y)  (1)
dy/dt=g(x,y)  (2)
があるとき、ある関数H(x,y)があって、
dH/dt=(∂H/∂x)(dx/dt)+(∂H/∂y)(dy/dt)=0  (3)
となるとき、保存系という。このとき
∂H/∂y=dx/dt   (4)
∂H/∂x=−dy/dt  (5)
を満たしていなければならない。微分方程式の解を(x(t),y(t))とする。この解曲線に沿ってdH/dt=0であるから、点(x0,y0)を通る解はH(x,y)=H(x0,y0)という等高線上にある。逆に、このような条件を満たすH(x,y)が見つかれば、連立微分方程式の解は
H(x,y)=C  (6)
となる。

 2階の微分方程式
x"=g(x)  (7)
を考える。連立微分方程式に直すと、運動する物体の位置x(t)とその速度y(t)との関係式は
x'=y    (8)
y'=g(x)  (9)
となる。ここでdU/dx=−g(x)とすると、
H(x,y)=y2/2+U(x)  (10)
となるから、この力学系は保存系である。y2/2を運動エネルギー、U(x)を位置エネルギーまたはポテンシャルエネルギー、H(x,y)を全エネルギーという。全エネルギーは力学系の不変量または保存量である。
例題:1次元自由落下の方程式
 ガリレイ(Galilei)は石の高さx(t)が時間の関数tにより
x=x0−g・(t−t0)2/2  (11)
であることを実験によって見い出した。これを微分すると
x'=−g・(t−t0)  (12)
となり、高さxの変動よりも速さy=x'の変動の方が簡単な法則に従うことを意味している。ある量の変動を問題にする場合、その量のみならず、その量の変化の速さ、すなわち速度そのものを考慮に入れる方が良い。さらに微分すると
x"=y'=−g  (13)
となり、加速度x"には変数は含まれていない。加速度が常に一定の値を保つと言うことがニュートン(Newton)により一般化された。 xとyの組(x,y)をシステムの相空間といい、未来、過去の総てを知るのに十分である。
 連立微分方程式に直すと
x'=y   (14)
y'=−g  (15)
となる。したがって
H(x,y)=y2/2+gx  (16)
は保存系である。
解曲線
H(x,y)=y2/2+gx=C
は放物線である。

問題1 (8)(9)が保存系であることを示せ。すなわち(10)式で与えられたH(x,y)がdH/dt=0を満たしていることを示せ。
問題2 (14)(15)が保存系であることを示せ。すなわち(16)式で与えられたH(x,y)がdH/dt=0を満たしていることを示せ。
参考文献:古屋茂、新版微分方程式、サイエンス社
参考文献:丹羽敏男、微分方程式と力学系の理論入門、遊星社