アップデート 2002.8.9

自由落下


 速度に比例する空気抵抗を受けながら、重力によってまっすぐに落下する物体の運動を自由落下という。自由落下を表現する微分方程式は、次のように書ける。
mdx/dt=mg−kx
xは物体の落下速度である。(通常はvで表すが、ここでは、xと書くことにする。)
gは重力加速度である。
mは落下する物体の質量である。
kは抵抗係数である。
mで割ると
x'+kx/m=g
となる。ここでa=k/mとおくと
x'+ax=g
となる。これは1階の線形常微分方程式である。解の公式より、a≠0のとき一般解は
x=e-at{∫geatdt+C}=e-at{geat/a+C}=g/a+Ce-at=mg/k+Ce-kt/m
となる。
t=0のときx=x0となる解は
x0=mg/k+C
を満たすように、任意定数Cを決めると
C=x0−mg/k
となるから
x=mg/k+(x0−mg/k)e-kt/m
となる。
lim x(t)=lim{mg/k+(x0−mg/k)e-kt/m}=mg/k
t→∞   t→∞
である。これは時間と共に速度x(t)が一定値に近づくことを意味している。地表近くで雨が殆ど等しい速度で降っていることの説明になっている。g=9.8m/sec2、a=1/sec、x0=10m/secの時の自由落下の解曲線を図示すると、次の様になる。



 1階線形常微分方程式の解法
x'(t)+f(t)x(t)=g(t)  (1)
を解く。g(t)=0の場合を考える。この方程式を斉次形という。
x'(t)+f(t)x(t)=0   (2)
となる。この斉次方程式(2)は、変数分離形である。dt/xをかけると
dx/x=−f(t)dt
となる。積分すると
x(t)=A・exp(-∫f(t)dt)
となる。非斉次方程式(1)の解として、定数Aを関数A(t)に変えた式
x(t)=A(t)・exp(-∫f(t)dt)  (3)
を考える。この考え方を定数変化法という。(3)を微分方程式(1)に代入すると
A'(t)・exp(-∫f(t)dt)−f(t)A(t)exp(-∫f(t)dt)+f(t)A(t)exp(-∫f(t)dt)=g(t)
となる。整理すると
A'(t)exp(-∫f(t)dt)=g(t)
となる。exp(∫f(t)dt)をかけると
A'(t)=g(t)・exp(∫f(t)dt)
となるから、積分すると
A(t)=∫{g(t)exp(∫f(t)dt)}dt+C
となるから、微分方程式(1)の解は
x(t)=exp(-∫f(t)dt)・{∫{g(t)exp(∫f(t)dt)}dt+C}
となる。

問題1:初速度がx0=5m/secであるとき、解曲線を図示せよ。a=1とせよ。x0=10m/secの場合との違いについて考察せよ。
問題2:初速度がx0=0m/secであるとき、解曲線を図示せよ。これは物理的にはどのような現象を表したものであるか。またこの場合の厳密解(解析解)を求めよ。
問題3:初速度がx0=−5m/secであるとき、解曲線を図示せよ。これは物理的にはどのような現象を表したものであるか。
問題4:化学における1分子反応式は、反応生成量をx(t)、総生成量をK、反応速度定数をkとすると、
x'=k(K-x)
である。初期値をx0とする解析解を求めよ。ただし、解析解とは、数式で表示された解のことである。
問題5:1分子反応式の解曲線を図示せよ。kとKの値は適当に定めよ。
参考文献:古屋茂、新版微分方程式、サイエンス社
参考文献:定松隆・猪狩勝寿、微分方程式の解法、学術図書