アップデート 2008.6.25

単振動


 バネの自然状態からの伸び(あるいは縮み)をxとするとき、xが小さいときは、フック(Hooke)の法則により、伸びxに比例する復元力(弾力ともいう)が生じる。したがって、バネの先端につけられた質量mの質点にはf=kxの力が働く。この比例定数k(k>0)を弾力定数という。kは振動子のスティフネスと呼ばれる系パラメータである。よって運動方程式はこの場合
mx"=−kx
となる。両辺をmで割ると
x"+kx/m=0
となる。ここでω2=k/mとおくと
x"+ω2x=0  (ω>0)
となる。2階微分方程式において、2個の任意定数を含む解を一般解という。この場合一般解は
x(t)=C1sin(ωt)+C2cos(ωt)
で表される。この解は三角関数の合成により
x(t)=R・sin(ωt+α)
とも表すことができる。
ただし
R2=C12+C22
cosα=C1/R
sinα=C2/R
である。この様に1個の正弦関数または余弦関数で表される振動を単振動(simple hrmonic motion)または1次元調和振動という。Rを振幅(amplitude)という。ωを角振動数(angular frequency)という。αを初期位相(phase constant)という。ω/(2π)を振動数(frequency)という。T=1/ωを振動の周期(period)という。
LC共振回路
Lx"+x/L=0
も変形すれば、x"+ω2x=0  (ω>0) となる。
 微分方程式を数値的に解くために
dx/dt=y
dy/dt=−ω2x
と連立方程式に変形する。このx(質点の位置)とy(質点の運動速度)との組(x,y)をシステムの相、または位相という。システムが取り得る相全体をシステムの相空間という。ここではxとyとの2変数であるから、相平面ともいう。システムの相空間とシステムの変動の仕組み(あるいは法則)を表す微分方程式を組にして考え、それをダイナミカル・システムまたは力学系という。定数kはバネの質量によって定まる。この力学系を調和振動子または線形振動子という。
 微分方程式系
dx/dt=y
dy/dt=−ω2x
保存系である。全エネルギーは
H(x,y)=y2/2+ω2x2/2=C
である。C>0の場合は、解曲線は楕円である。2つの軌道
y2/2+ω2x2/2=C1 (1)
y2/2+ω2x2/2=C2 (2)
があるとする。この2つの解曲線が点(x0,y0)を通るとすれば、(1)より
y02/2+ω2x02/2=C1 (3)
となり、(2)より
y02/2+ω2x02/2=C2 (4)
となる。(3)−(4)から
C1=C2
がえられるので、2つの軌道は一致する。これは2つの軌道が交わらないことを示している。すなわち微分方程式の解の一意性が言える。C=0の場合は、解曲線は1点(0,0)に退化している。この系の不動点は原点(0,0)だけである。
 横軸に時間軸をとり、縦軸に変位xと速度yを同時に表示すると、次の様になる。

 同じ図形を、横軸に変位xを、縦軸に変位yをとると、次の相平面が得られる。周期解であることがよく分かる。

 
次の単振動の解曲線を求め、全エネルギーを計算せよ。
問題1
x"+x=0
x(0)=1
x'(0)=2
問題2
x"+4x=0
x(0)=3
x'(0)=2
問題3 問題に与えられていない単振動の方程式を1つ考えよ。そして全エネルギーを計算せよ。係数や初期値を整数にする必要はない。他人と異なるものを考えよ。
参考文献:古屋茂、新版微分方程式、サイエンス社
参考文献:丹羽敏男、微分方程式と力学系の理論入門、遊星社