ダイヤモンドモールドによるナノインプリント技術に関する研究

ナノインプリントリソグラフィ(Nanoimprint Lithography: NIL)技術は、従来の半導体産業等で用いられているフォトリソグラフィや電子ビーム直接露光技術とは異なり、光波長による解像度の限界がなく、10nmレベルからミクロンオーダの構造体を大量生産でき、高スループットである。またナノインプリント装置は従来の微細パターン形成装置に比べ安価であるため、近年、新しい微細加工技術(ナノテクノロジー)の一つとして注目を集めている。この技術は、ナノメートルサイズの金型(モールド)をウエハー上のレジストに押し付けて型を転写して微細パターンを形成(一括転写)するもので、成形加工を高度化したものであり、ものづくりの将来を一変させる技術として期待されている。この技術で特に重要なのは金型となるモールドである。要求される条件として、1.モールド作製のためのナノパターン形成技術 2.押し付け時の耐圧性や耐熱性 3.半永久的に大量生産を可能とする繰り返し性などが挙げられる。そこで、これらの条件を満たすモールド材料として、高硬度・耐磨耗・低熱膨張係数などの特異な性質を有するダイヤモンドが最も適している。そのためモールド材料であるダイヤモンドをナノ加工し、ナノメートルスケールの3次元ダイヤモンドモールドを作製する。また、高精度コンパクトナノインプリント装置の試作開発も行い、その装置にダイヤモンドモールドを装着し、実際にインプリントを行い、本研究で作製したダイヤモンドモールドの有用性についても確かめる。最終的に本研究で開発したダイヤモンドモールドによるナノインプリント法でダイヤモンドナノエミッタアレイを作製し、電子放出源としての有用性について検討する。 そこで、室温で高精度なパターン転写可能なポリシロキサン[-R2SiO-]nを転写材料として用いる室温ナノインプリントリソグラフィ(Room Temperature-NIL: RT-NIL)プロセスについて検討する。このプロセスは昇降温度変化を必要としないため、工程時間が短縮でき、主成分が酸化ケイ素(SiO2)であるポリシロキサンは、酸素プラズマエッチング耐性があると考えられるので、転写パターンをそのままマスクとしてダイヤモンド膜のナノパターンを形成することができるなどの利点がある。一般に、ダイヤモンドの微細加工はAlマスクを用いるリフトオフ法によるものが多いが、工程が複雑で、Alマスクの再付着による表面の荒れなど問題点が多い。そこで、室温において高粘性で高精度な転写が可能であるポリシロキサンを用いて、本研究で開発し試作した、コンパクトナノインプリント装置とポリシロキサンマスクを用いた電子ビームリソグラフィ技術により作製したダイヤモンドモールドを用いて、RT-NILによるダイヤモンドのナノ加工を行う。

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