KOSEN4.0イニシアティブ(防災テーマ)第5回講演会を開催しました。


 平成30年度“KOSEN(高専)4.0”イニシアティブ「地域に存在する重要課題を通して育成する課題解決力の高い社会実装型技術者育成プログラムの開発~防災を含む原子力教育をベースとして~」の事業の一環として、平成31年1月24日に、第5回講演会を開催しました。
 今回は、「舞鶴市における地域防災システムの社会実装にむけて」をテーマに、位置情報の分野で活躍される3名の方に講演していただきました。
 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 佐野木良生氏は、ものづくりから情報分野に専門を移された経歴をお持ちで、短い滞在期間の中で舞鶴市内の防災看板の状況を調べられており、実を重んじる姿勢が印象的でした。舞鶴市内に設置するシステムも、平時から利用可能で発災時にも役立つものでないと実際には使えないとのことでした。また、クラウドの重要性にも言及され、被災した町の復興で足かせになるのはローカルに保存された情報が復元できないことであり、セキュアなクラウドを活用した情報の保管が、災害時の復興に非常に有益であると話されました。
 次に、一般財団法人衛星測位利用推進センター 松岡 繁氏から、準天頂衛星みちびきについてお話しいただきました。1997年の宇宙委員会での開発決定、2010年の初号機、2017年の2号機から4号機までの打ち上げのご説明と、実際の運用と関係する技術実証、利用実証等を踏まえて2018年11月の実際のサービス開始について説明いただきました。みちびきでは、他の衛星システムと同様な測位信号の他に二つの精度を補正する補強信号(SLAS,CLAS)が搭載され、衛星の揺らぎ、電離層、対流圏による信号遅延等を補正することで、これまでの10m精度が1m(SLAS)、さらには数㎝精度(CLAS)になること、また、高精度な補強信号を受信するための受信機が値下がりすることにより、2019年がみちびきによる高精度測位の利用元年になると話されました。
 最後に、株式会社芳和システムデザイン 鈴木直康氏から、GPS測位の及ばない建物内の測位について、IoTと関係づけてお話いただきました。高精度になったGPS測位について、建物内の電波が届かない場所でも測位できるようにするため、セルラー基地局、Wi-Fiのアクセスポイント、またビーコンと呼ばれる信号をBluetoothで送信することで建物内測位を可能にする技術についてお話がありました。ネットワーク技術の双方向性を利用するこのサービスにより、位置情報だけでなく、平時は老人や子供等の見守りサービスとして、有事には安否確認システムとして利用可能になると話されました。
 最後に3人の講師の方から高専生にメッセージが送られ、高専で養われる実際にモノをイメージできる能力は、例え将来情報系分野にかかわることになったとしても重要な能力であり、失敗を恐れずにものづくりに向き合ってほしいとエールが送られました。


伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 佐野木 良生氏


一般財団法人衛星測位利用推進センター 松岡 繁氏


株式会社芳和システムデザイン 鈴木 直康氏