H26年度 活動報告(石井)

平成26年度 九州沖縄地区国立高等専門学校技術職員研修(情報系,機械系・材料系)

概要

 平成26年8月27日(水)〜29日(金)の3日間の日程で熊本高等専門学校八代キャンパスにおいて開催された、平成26年度九州沖縄地区国立高等専門学校技術職員研修を受講しました。この研修は、技術職員に対して、その職務の遂行に必要な職務等に関する一般知識、技術に関する専門的知識を修得させることにより、技術職員の資質の向上を図ることを目的として実施されています。

 今年度は、九州沖縄地区の国立高等専門学校の技術職員16名に他地区(舞鶴1名、津山2名、高知1名)からの4名を加えた、計20名が受講しました。


技術課題等の発表および自由討議

 1日目は、技術課題等の発表および自由討議(発表15分・討議5分)があり、「授業アンケートの集計およびフィードバックシステムの構築と運用」と題して口頭発表を行いました。FD・ICT部会内で担当している中で構築してきた、授業アンケートの集計の方法とそれを教員にフィードバックするためのシステムの概要、アンケートの仕様変更に対する対応などについて発表しました。機械系と情報系で計13件の発表があり、特に同じ分野である機械系の発表では、近年導入された先端の工作機械を用いた加工・それらの運用について、また、普段の工作実習において苦労していることや工夫していることなどについての発表があり、非常に参考になる内容でした。


工場見学

 2日目の午後は、「平田機工株式会社」の熊本工場に工場見学に行きました。平田機工は生産設備をつくっている会社で、設備の機械だけでなく、その制御を行う制御装置やソフトウェアを含めた生産ラインの設計から製作、メンテナンスまでを行っています。見学では組立の現場や、レーザー加工機、大型のマシニングセンタ、開発中の産業用ロボットなどを拝見することができました。

ものづくり体験講座

 3日目の午前は、「ものづくり体験講座」がありました。折鶴のイラストの紙を貼り付けた0.1mmの銅板を切り取り線に沿ってはさみで切断、折り目をケガキ針でなぞってから紙をはがし、銅板を折って折鶴をつくるという内容でした。細かい作業ながらも実習工場の方々の丁寧な説明のもと、きれいな折り鶴に仕上げることができました。

施設見学

 施設見学として、熊本高専に導入された4台の3Dプリンタやその作品を拝見し、それらの特徴や相違点などについて説明を受けました。近年注目されてきている3Dプリンタですが、機種によって材質やその処理方法に違いがあること、それにより強度や精度、ランニングコストにも違いが出ることなどを学ぶことができました。

 実習工場も見学させていただきました。よく整理されていて充実した設備が整っているという印象を受けました。実習工場では「旋盤でひょうたんをつくってみよう」という講座も開いていただきました。小学生からでも受講できるように簡単化かつ洗練された内容で、刃物の取り付けや位置設定などはあらかじめ行われており、作業者はハンドルを進めるだけで複雑な形状であるひょうたんを削り出すことができます。実際に手を使ってハンドル操作を行うことにより切削の手応えを感じることができ、また、被削性のよい材質を使用していることにより簡単に作業ができるため、ものづくりの面白さに触れることができる講座であると感じました。

ものづくりアイデア交換会

 各高専別にそれぞれの学校で実施されている公開講座等についての出展を行いました。本校からは平成23年度に実施した「イルミネーションアクリルスタンドを作ろう!」、平成25年度に実施した「円盤形ホバークラフトをつくろう」、平成26年度に実施した「どうぶつ形ホバークラフトをつくろう」の作品3点を出展しました。いずれも教育研究支援センターにて企画・実施した公開講座です。他校の受講者の方々にも興味を持って見ていただけているようでした。

 また、他高専で実施されている公開講座等についての説明を受け、出展された作品を見ることができました。各校の様々な取り組みや工夫、アイデアを知ることができ、大変参考になりました。これからの公開講座のヒントになればと思います。学校のPRや地域貢献としてなど、これからますます重要になってくることだと思われるので、ものづくりの楽しさをより感じることができるようなものにしていければと思います。公開講座などに絞ったこのような出展の方式はあまり見たことがなかったため、おもしろい試みだと感じました。

まとめ

 上記以外にも、「情報セキュリティについて」、『「OSHMS」と「リスクアセスメント」の違いについて』、「生活支援ロボット研究開発の現状と高専でのロボット研究のあり方」、「知財について」の講演・講義があり、技術職員としての職務・業務に関連した大変参考になる内容でした。3日間の研修を通して、普段あまり交流の機会のない九州沖縄地区の技術職員の方と交流ができ、また、同じ分野での他校の取り組みについても広く知ることができ、大変有意義な研修となりました。この研修で学んだことを今後の業務に活かしていきたいと思います。