H26年度 活動報告

第16回 近畿地区国立高等専門学校技術職員研修 報告

 平成26年8月4日、5日の2日間、本校において「安全衛生」をテーマに「第16回 近畿地区国立高等専門学校技術職員研修」を開催しました。この研修は近畿地区国立高専の技術職員対象に、専門的知識習得と相互啓発による資質向上を目指して開催されています。他高専からの7名の参加に加え、本校からは桝田と能勢が受講者として参加しましたが、今回は本校が主管校であることから、教育研究支援センターが一丸となって準備と運営にあたりました。

 本校の太田校長および野間センター長による挨拶の後、以下の内容で研修を実施しました。

特別講演

 「舞鶴高専・教育研究支援センターにおける安全対策について」と題し、本校の北代が講演を行いました。舞鶴及び舞鶴高専の簡単な紹介があり、続いて本校の安全対策について「実習中」、「工場内」、「その他校内」の3つの観点から、具体例を示したり実際の資料を回したりしながらの講演となりました。その後、実験室や実習工場を中心に現場の見学を行いました。

   

各高専の取組報告および自由討議

 各高専の代表者から、それぞれの安全についての現状や取組事例について報告していただきました。本校からは桝田が主に実習工場での現状と課題について報告しました。操作説明の掲示、整理整頓清掃の実施および啓発といった取組を行っている中、技術職員全員が同じ安全意識・知識を持つことなどを課題として挙げました。

 他高専からは、電気系、情報系、建設系、物質系などの多分野に渡る報告があり、研修参加者のみならず聴講していた本校職員にとっても参考になる報告会でした。

 釣の司会により行われた自由討議では、取組報告で挙げられた事例や提起された問題を「実験・実習」、「学校全体・安全衛生委員会」、「その他」の3つの分野に分け、意見交換を行いました。「実験・実習」では学生への指導方法が話題の中心となりました。その中でも、「指導者によって手順や安全に対する意識の違いがあり、その差をどう埋めるか」という議題では、やはり指導者間でコミュニケーションをとり、常に情報を共有することが重要である、との意見が多く出されました。

 その他、出前授業や公開講座においては傷害保険も話題となりましたが、特に小学生に対しては「触らせずに触った気にさせる」、つまり安全に配慮しつついかに高い満足感が得られるかを考える、という意見には多くの職員が同調していました。

           

技術実習研修

 「安全衛生」がテーマであることから、今回の技術実習では「環境衛生実験」を行いました。実験に先立ち、本校建設システム工学科の四蔵教授より、浄水処理法および水質環境計測について専門外の職員に対しても分かりやすく講義いただきました。その後は会場を実験室に移し、西川、西村の両職員指導のもと、学生対象にも行われている「環境水の水質測定」と「残留塩素濃度測定」の2テーマについて、2グループに分かれて実験実習を行いました。

 池や河川でも環境や上流・下流によって水質が大きく異なること、同じ学内の水道水でも場所によって微妙に残留塩素濃度に違いが表れることなどを、身を持って知ることができました。また、専門外の職員にとって知見を広めることができただけでなく、実験時の学生指導について様子を知ることができました。

           

施設見学

 今回の施設見学は、舞鶴市内にあるケンコーマヨネーズ株式会社 西日本工場様にお世話になりました。会社や工場の概要を説明していただき、ラインを見学させていただいた後、今回のテーマに係わる「食と労働者の安全衛生」について、取組を紹介していただきました。食品と工学系高専とは一見関わりがあまり無いように思えますが、作業や業務を行う労働者という点で共通する部分が多く、リスクアセスメント活動や実際の報告書等、高専でも参考になるお話を聞くことができました。安全教育を繰り返し行うこと、事故発生時にはなぜ起こったのかを分析し対策することが重要であると感じました。

総評

 高専のような教育機関における安全衛生は、企業等と比べるとまだまだ不十分な状態です。単純に比較できるものでもありませんが、重大な事故や災害が起こってからでは遅く、教職員全員が同じ意識を持って取り組んでいく必要があります。学生と我々教職員を守る安全衛生をテーマに掲げた今回の研修ですが、本校はもちろんのこと、参加された他高専にとっても、今後ますますの学びやすく働きやすい環境づくりの後押しとなれば幸いです。

 各高専の参加者をはじめ、本研修に係わられたすべての方に御礼を申し上げます。