平成24年度西日本地域高等専門学校技術職員特別研修会 報告

 平成24年8月22日〜24日にかけて豊橋技術科学大学で開催された平成24年度西日本地域高等専門学校技術職員特別研修会(主催:独立行政法人国立高等専門学校機構、担当校:熊本高等専門学校)に参加しました。この特別研修会は高等専門学校の技術職員に対して、職務を遂行する上で必要な高度な専門的知識を修得させ、技術職員の資質の向上を図ることを目的とするものであり、今年度は建設・環境系を専門とする技術職員を対象としたものでした。

特別講演(22日午前)

 研修初日の22日午前に豊橋技術科学大学 理事・副学長 稲垣康善先生による特別講演「技術、それは使ってこそ、使われてこそ」、22日午後には熊本高専校長 宮川英明先生による特別講演「これから求められる人材とモチベーションについて」が行われました。稲垣先生のご講演では昨年の東日本大震災を例にして、技術者の社会的責任や技術開発の上で実証、実用化研究の必要性を分かりやすく説明して頂きました。また、宮川先生のご講演は業務におけるモチベーションやマネジメントに関するものであり、学生指導においても役立つ興味深い内容でした。



研修会場


施設見学(22日午後)

 施設見学は建築(土木)系と環境系に分かれて行われ、私は建築系の施設、研究室を見学させて頂きました。建築・都市システム学系教授の松島先生の研究室では3Dプリンタや大型レーザーカッター、CNCルーターに関する説明を受けるとともに、これらの装置で作成した模型を拝見させて頂きました。また、建築・都市システム学系准教授の松井智哉先生には構造、耐震関係の実験設備を案内、説明して頂きました。耐震壁実験の説明では実験装置の概要だけでなく安全対策に関してもご教授頂きました。



班別討論(22日午後)

 班別討議では「各高専における技術職員の活動状況とそれに係る諸問題について」に関する4つのテーマそれぞれに対して技術職員が班分けされ、討論の際には豊橋技術科学大学の技術職員の方々にも議論に加わって頂き、活発な議論を交わしました。自分のグループの討論および全体の討論結果の発表において各高専の現状を知ることができ、業務上非常に参考になる情報を得ることができました。



技術課題発表(23日午前、24日)

 技術課題発表では建設・環境系だけでなく、機械、電気、化学、生物などに関する発表も複数あり、専門分野以外についても高度な知識を得ることができました。発表は科研費に関する研究や授業、集中講義、受託研究に関するものの他、技術職員の活動報告、公開講座など多岐にわたる内容でした。私自身は振動実験による木造住宅の耐震性の評価について発表しました。発表後、助言者の先生や技術職員の方々から発表内容や実験に関する感想や改善点をご指摘頂き、今後の実験、研究を遂行する上で参考になる意見を聞くことができました。



講義(23日午後)

 研修2日目の午後に豊橋技術科学大学の3名の教員の方々による環境関連の講義と熊本高専の教員の方による商品開発におけるイメージカラーに関する講義を受けました。環境関連の講義は環境影響評手法や水環境の現状、水質簡易測定法、室内環境などバラエティーに富んだ内容であり、土木、建築両分野の環境工学に関する知識を得ることができました。また、イメージカラーに関する講義では色と感性の対応や商品カラーの決定方法に関する説明があり、今後、ポスターやパンフレットを作成する上で参考になるものでした。



まとめ

 私は平成19年度にも特別研修会に参加させて頂きましたが、その時に比べて今回は参加人数が少ないこともあり、研修期間中に多くの方と話す機会を得ることができました。その中で授業や科研費、技術職員の組織や活動内容、公開講座について他高専の現状を知ることができ、今後の業務において非常に有用な情報を得ることができました。また、特別講演や講義、技術課題発表を通して、高度な専門知識だけでなく専門分野以外の知識も得ることができ、非常に有意義な研修だったと感じています。今後、この研修会で得たことを単に知識として持つのではなく、これからの業務に活用できるように自己研鑽につとめていきたいと考えております。