Opinion 2004









今朝,初雪が降った.こんなに遅い初雪は記憶にない.

大荒れだった,””の歳も暮れようとしている.スマトラ沖で起こった大地震も単なる一情報に過ぎないのが恐ろしい.
ところで,元日恒例のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートは,ロリン・マゼールの指揮(現役最多)だ.静かな元旦に心を洗いたい.
皆さん良いお年を!!

【28 December 2004】





師走になったので,クラウディオ・アバド指揮,ベルリンフィルの”第9”を聴いている.

”第9”を聴いていると,いつも,ベートーヴェンはなぜこのような素晴らしい音楽を創造できたのかと思う.
しかし,こんなことを書くと,偉いセンセイから「クラシックばかりを美化して・・・・・.」という類のご批判を頂戴しそうだが・・・.おそらく,この手のセンセイには,人生には「感動」という言葉はなく,乾燥しきったもので哀れみを感ずるのだ.

【11 December 2004】





先日,嵐山を訪れた.普段の朝はひっそりとしているが,紅葉の季節であり,観光客で混雑していた.

渡月橋からは紅葉した山が一望でき,晩秋の風情.川沿いに亀岡側へ行くと”展望台”の案内板があったので展望台までの急坂を上ることにした.途中の紅葉はまずまずだが,金剛院(舞鶴)の紅葉のようにハッとするものはない.とはいえ,展望台からの嵐峡館,保津川を見渡す景色は見事であった.観光客も少ないのが◎.しかし,渡月橋上流の茶店から無処理の廃水が堂々と垂れ流されているという,目を覆いたくなる光景を目にした.国際文化都市京都として恥ずかしい.関係者は何も感じていないのか,大きな疑問が残った.
【6 December 2004】





京都・舞鶴で観光バス水没,全員救助!

鈴鹿で「あの音」を久々に聞いた雨中のF1フリー走行.翌日,名古屋付近を台風が通過した.
その11日後の昨日は,「また,台風が来ましたねー.大したことなくてよかったですねー」とはいかなかった.
台風23号で安全を考えて帰宅せず,一夜を明かした空を救助関連と思われるヘリが飛んでいった.
画像情報がほとんどなかったので認識が薄かったが,帰宅後テレビを見て息を呑んだ.バスやトラックの哀れな姿がさらされているのは,通い慣れた「志高下境」ではないか.ガソリンスタンドも屋根だけ見える.
話にしか聴いたことがない大洪水が起こったのだ.何度も氾濫した由良川が怖いのは,理屈では知っていた.大川橋の近くには,過去の洪水時の水位が記された柱がある.これ自体,我が目を疑う信じられない水位だ.
全員救助されたこと自体,奇跡的だ.救助された人のうれしそうな顔.わかるなー,この気持ち.

【22 October 2004】





祝 イチロー,大リーグ・シーズン最多安打記録達成!

プレッシャーをエネルギーに変えての金字塔到達! タイ記録,新記録,+1安打!で今期259安打.とにかく文句なしに素晴らしい.これも,天才には通過点の一つだろう.
【2 October 2004】





昨日,万博記念公園で34年ぶりに太陽の塔の「黄金の塔」の両目が点灯された.

ものが溢れた代わりに心が空(から).教育も本質を見極めず,目先のつじつま合わせに労力を費やす時代に突入し,近い将来の「国力」が大いに危ぶまれる.
ところで,ごきぶりは「いつも貧乏,たまに贅沢」が,生命力がいちばんあるそうだから,日本も「あの頃」を思い出してみたらどうだろう.竹藪の中を万博会場へ向かって34年経ったが,とても今の日本に本物の豊かさがあるとは思われない.

【22 September 2004】




WRC,世界ラリー選手権,第11戦(ラリー・ジャパン)が昨日,北海道で開幕した.

日本での開催までこぎつけた関係者の努力に敬意を表する.モータースポーツファンとして,「ほんもの」が開催されることを素直に喜びたい.観戦しているファンは,今頃,ラリーカーのサウンドにしびれていることだろう.うらやましい限りだ.
【4 September 2004】




先月の福井県の関西電力美浜原子力発電所の配管破断事故は,それより先に高浜原子力発電所で起こっていた可能性も十分にある.

もうこれは放射能漏れ事故以前の次元の問題だ.配管に安物の「炭素鋼」が使われていたと聞いて現実が見えた気がした.
先日,福井県美浜町を走っていると,前には木内計測の車.車に貼られた「だからプルサーマル」のステッカーが虚しい.昨日,「高浜原子力発電所で”微量の”放射能漏れがあった.」とのニュースがあった.何かあるごとに,「環境への影響はありません.安全です.」なるコメントが,判で押したように繰り返されている.京都大学名誉教授が「安全だ.」と言えば,安全なのか? 冷静に考えれば,放射能漏れは日常茶飯事と考える方が妥当であろう.その証拠に,原発は人口密集地,いわゆる大都市圏には建設されていない.
「事故が起こったって,死亡する人数なんて大したことないよ.」とは,口が裂けても言わないだろうが.
高浜原発から,直線距離で数kmしか離れていない,全国で最も危険な高専が本校だ.
ところで,今日は「防災の日」だったことに,今,気がついた.

【1 September 2004】




「我が輩は2億円である.」

先日,豪雨災害の復旧に使ってくださいと,福井県に匿名で送られてきた2億円(宝くじの当たり券).まぶしく輝いてかっこよすぎる.さもしい輩があふれる中,さわやかな風が吹いたのではないか.生きた金,これは究極の使い方といえる.これに対して,腐りきった使い方,言い換えると死んだ金は,先に述べた1億円であり,金も気の毒だ.
【26 July 2004】




「我が輩は入用剤である.」

今夏,某週刊誌の熱心な取材により明るみに出た,自称”秘湯の中の秘湯”,信州・安曇村,白骨温泉の入浴剤投入事件であるが,これはある程度予想されていたことであり,今後,(他の温泉にさえも)芋蔓式に入浴剤入りの名湯が増加していくことになるだろう.聞いてあきれるのは「白く濁っていない」と文句を言った客がいることだ.加えて,温泉評論家氏が絶賛していたかけ流しの宿にも入浴剤が投入されていたことは,たいへん興味深い.
実は,この白骨温泉には,その渋い名称に惹かれて20数年前に一度訪れたことがある.電車,バスを乗り継いでようやくたどり着いた山奥の宿.近くに川が流れる山間の露天風呂は,貸し切り状態で,まさに”鄙びた”という言葉がふさわしいものであった(この頃は,まだ入用剤は投入されていなかったと信じたいが・・・.).いつかまた訪れたいと思っていたが,実行しなくてよかった.
ところで,ビール,松葉かに,自動車等,日本にはにせもの文化が氾濫しているので,客側がほんものを見る目を養わない限り,見せかけのにせものに踊らされる「裸の王様」が減ることはない.

【24 July 2004】




「我が輩は1億円である.」

何年か前,ペルー日本大使館占拠事件のとき,あんパンを配った総理大臣がいたことを思い出した.政治献金と賄賂,申告漏れと脱税の違いがいまだにわからない庶民には1億円は縁のない大金だが,”センセイ”には受け取ったことさえ忘れるはした金のようだ.
ところで,今日は祇園祭の「宵山」.うだるような暑さの京都.

【16 July 2004】




「玉損の攻め」で知られた元日本将棋連盟会長の原田泰夫九段が11日,亡くなった.

名人戦の解説等で楽しみだった「原田の名調子」,原田節をもう聞くことができないとは,甚だ寂しい.”一局”教わった唯一の棋士.謹んで哀悼の意を表する.
【12 July 2004】




祝 佐藤琢磨,F1アメリカGP,3位表彰台!!

14年前の鈴木亜久里(日本GP,3位)以来の表彰台.「レースは完走するために走っているのではない」は正論であろうが,結果を出すことはもっと重要.F1ファンとしては,もっと上を目指してほしい.
【21 June 2004】





今日の朝刊,三菱自動車の全面広告に「安全は三菱の願い」なる一節がある.

これほど現状とは似ても似つかぬ空虚な文章もないだろう.閉鎖社会にどっぷり浸って腐りきった上層部は,”米つきバッタ”に徹していれば,いずれほとぼりが冷めると思っているだろうが,現場の”まじめ”なエンジニアが泣いている.
【4 June 2004】





「先生ね,8五飛車戦法,あれ,アマチュアは99%指さないね.プロはなんで,あ,あんな学会の研究発表みたいな将棋指すのですか・・・?」なる記述が某将棋のページにある.

確かに,棋譜を見てうなずくことはできるが,隠れた変化等は解説がないと難解すぎる.序盤の一手が一局を左右する.しかも,日頃の研究が物を言う.頭脳の最高峰が激突する名人戦,趣味の将棋からはほど遠い崇高な世界だ.
【19 May 2004】





F1サンマリーノGPが始まった.

「タイムを出しているわけではない.とにかく,フェラーリが走ってくるだけで大騒ぎする.凄いんですよ.」と森脇基恭氏が興奮気味に話していたのが,1988年のイタリアGP(モンツァ).サンマリーノGPは,サンマリーノの名を借りて,イタリア,ボローニャ近郊のイモラで行われるGPだが,サーキットの名は,エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリというくらいだから,観客の熱狂は有名だ.パドックの上には,誇らしげなカバリーノ・ランパンテ.「イタリア人にとって,フェラーリは,長嶋が走ってくるみたいなものなんですよ.」とは,松任谷正隆氏の言.ところで,ホンダが絶好調とのこと.はるか彼方に響くホンダの音.若干の期待をもって決勝を見守りたい.セレーノ.
【24 April 2004】





先日,パリ/マルモッタン美術館展(京都市美術館)を鑑賞した.

久々の絵画展.10時過ぎは空いていた.モネの睡蓮をはじめ印象派の名作が展示されていたが,最も印象に残ったのは,オランダのチューリップ畑(モネ)である.典型的なオランダの風景を勢いのあるタッチで描いている.オランダでは,まさに今がチューリップの旬.電車から見るハールレム〜レイデン間・一面のチューリップ畑と風車の景色は感動に値する.期間限定,お薦めのオランダである.
【22 April 2004】





3月20日に94歳で亡くなったオランダのユリアナ前女王の葬儀が3月30日にデルフト新教会で行われた.

日本からは秋篠宮ご夫妻が出席された.ハーグでもアムステルダムでもない.オランダ王家ゆかりの地,デルフトの重みを改めて感じる.
オランダの女王誕生日は,前女王の4月30日が採用されている.ところで,天才A.セナがイタリア・イモラで天に召された日,5月1日夕刻,デルフトでその報に接してから,もう10年になると思えば,感慨深い.


デルフト新教会デルフト新教会デルフト新教会・鐘楼からの絶景

【7 April 2004】





将棋観戦記者の加古明光氏が2月27日に亡くなった.

今,驚きながらこれを書いている.先日のA級順位戦の観戦記に体調が悪いと書かれていたが・・・・・.名人戦の歴史を肌で感じてきた名観戦記者が63歳でこの世を去ったのは,誠に残念.謹んで哀悼の意を表する.
【3 March 2004】





先月末,丹波町で発覚した鳥インフルエンザ問題には,企業の本音があらわれている.

養鶏業者の選択は「バレる前に出荷」だった.「もうけ最優先が企業の基本」だから,自然な流れともいえる.恐らく山口,大分での問題は他人事であり,ここまで深刻な事態になるとは思っていなかったはずだ.「木を見て森を見ず」.すでに汚染された鶏肉,鶏卵が日本中に出回り,消費者の口に入っていると考えるのが妥当であろう.ただし,姿形が変わっているのでわからないだけだ.今年は,牛,鶏の当たり年だが,食べ物に感謝する気持ちが忘れ去られている今,命を物としか見ていない傲慢な人間への自然からの警告であると考える.一方で,今春から「採算」が教育界へも導入される.慎重に見守りたい.
【2 March 2004】





大相撲初場所,昨日の結びの一番,朝青龍・千代大海戦は,懸賞の数が異常に多いと見てたら,やはり史上最多で27本とのことだった.

初日から14連勝で優勝を決めた横綱の行動は,何かと話題になり批判を浴びているが,毒にも薬にもならない「定年まで大過なく」式の人間が多い中で,なかなか興味深い.初代若乃花のスーツ姿を知っているというではないか.日本語もうまい.この横綱の姿勢に何かを感じる人が多いからこそ,日本相撲協会が喉から手が出るほど欲しがっている「満員御礼」が実現できているのだ.今,”朝青龍が引退してしまったら”と考えただけで,北の湖理事長は青ざめることになるだろう.
【25 January 2004】





元日恒例のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートは,イタリア・ナポリ出身のリッカルド・ムーティが指揮した(4年ぶり4回目).

”美しく青きドナウ”の前のムーティの挨拶が秀逸.ラデツキーマーチも観客席を向いて”らしさ”が出ていた.穏やかな元日にシュトラウス&ムーティの魔術を堪能した.
【2 January 2004】









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